Sunday, March 14, 2010
ゴルフを語る(6)縄伊知郎
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<ゴルフを語る⑥>

3大オープンに選手が必死になる理由
ゴルフライター 縄伊知郎

◆日本オープンの特別な重み

  昨年の日本オープン(福岡県の古賀ゴルフ・クラブ)で片山晋呉が永久シード権を勝ち取ったときは、その快挙が広く報じられた。日本シリーズと日本オープンを除くすべてのツアートーナメントに生涯出場できる資格を彼はそのとき、獲得したのである。

  そのシーズンの優勝者と賞金ランキング上位25名だけが出られる日本シリーズも、また日本オープンも、永久シード選手だからといって自動的に出場資格が与えられるわけではない。

  「1年でひとつだけ勝つなら日本オープンだ」というプロゴルファーは多い。年輩のプロ選手たちの間でも、「あいつは日本オープンで優勝もしていないのに」と、現役時代のキャリアが後々までつきまとうのを耳にする。角界に生きる人が現役を退いた後も「元関脇○○の××親方」などと、現役時代の最終番付ではなく最高位の肩書で一生呼ばれるのに似ている。

 2005年、廣野ゴルフ倶楽部(兵庫県)での日本オープンを制したのも、当時すでにトッププロの地位を不動のものにしていた片山晋呉だった。彼はほかの試合で勝ったときには派手なガッツポーズを繰り返していたが、悲願の日本オープン初優勝では違っていた。

  優勝が決まったそのとき、私が見たものは上体を大きく前に折り曲げ、顔を覆ってさめざめと泣き始めた片山の姿だった。名実ともに日本一のゴルファーになった瞬間だと万感迫るものがあったことだろう。

  有名な優勝シーンは1988年のジャンボ尾崎である。短い距離のウィニングパットを前に手が震えているのを感じ、2回もアドレスをほどいて仕切り直したのも、彼の100回を超える優勝の瞬間ではほとんど見られない姿だった。

  ゴルファーにとって、「価値」という言葉では安易すぎるほどの特別な重みをもつ日本オープンとは何か。

◆日本のゴルフ競技会の構成

  そもそも毎週行われるトーナメントはツアー競技と言われ、上記の永久シード権獲得選手や、男子の場合前年の賞金ランク70位以上の選手(女子は50位以上)、前年の当該トーナメントで10位以上の選手(女子は優勝者)、など共通の資格が適用されて出場選手が決まる。いわゆるシード選手である。

  どの資格もない選手は、スポンサー推薦を受けたり、マンデートーナメントと呼ばれるその週の予選を通過したりして、晴れて木曜からのトーナメント本戦に出場できる。そうした試合は、ゴルフ関連団体ではなく一般企業が主催する試合なのでスポンサートーナメントとか民間トーナメントなどと呼ばれており、JGTO(日本ゴルフツアー機構、男子ツアーを管理)、LPGA(日本女子プロゴルフ協会、女子ツアーを管理)、PGA(日本プロゴルフ協会、シニアツアーを管理)はトーナメントそのものの主催者ではない。原則的に共通のトーナメント規定や賞金配分を各主催者に課しているのである。競技団体の試合は公式戦あるいはメジャーと呼ばれたりして他の試合とは区別される。

  日本プロ(PGAが主催)、日本ゴルフツアー選手権(JGTOが主催)、日本オープン(JGA<日本ゴルフ協会>が主催)は、これらのスポンサー競技とは一線を画していてスポンサー推薦枠での出場はない。

  また、優勝者に与えられるシード権の年数が5年となる。必ずしも賞金が最高額ではない3試合に、選手たちが欠場しないで必死に戦う理由は、名誉だけではなくシード年数の長さにもある。多くの選手が1シーズン苦労して70位以内に入り、翌シーズンの戦う場が与えられる。ここに入らないと戦う場すら与えられなくなるのである。

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